日本味と匂学会 第42回大会

Tetsuya Koide1, Nobuhiko Miyasaka1, Kozo Morimoto1, Koichi Kawakami2, and Yoshihiro Yoshihara1

Laboratory for Neurobiology of Synapse, RIKEN Brain Science Institute1
Division of Molecular and Developmental Biology, National Institute of Genetics2

  魚類においてアミノ酸は誘引行動を引き起こす匂い物質であるが、その詳細な神経回路メカニズムは未だ明らかにされていない。今回我々はTol2トランスポゾンを用いた遺伝子トラップ法により、異なったタイプの嗅細胞にGAL4を発現するゼブラフィッシュ系統群を樹立した。それらのうち、微絨毛嗅細胞にGAL4を発現する系統をUAS-破傷風毒素トランスジェニック系統と交配させて、微絨毛嗅細胞から嗅球への神経伝達を遮断したところ、アミノ酸への誘引行動が完全に消失した。このように遺伝学・神経解剖学・行動学的手法を組み合わせることにより、特定の嗅覚行動に関わる神経回路素子の同定が可能となった。